第1章 はじまり
それを合図に襖が開き、山姥切国広が姿を表す。そして広間の皆に見えるように、口許に人差し指を立て、静かにするよう目で訴える。
皆心得たように頷き、口を閉じたり口を手で隠したりすると、山姥切が静かに広間に入ってくる。その後ろには堀川国広が続き、最後に山伏国広が入ってくる。
皆の間を通り全の側までくると、堀川が胸に抱いていたものを見せた。そこには全と同じ漆黒の髪の赤ん坊が、絹の布団にくるまれてスヤスヤと眠っていた。
「なんで、赤ん坊なんか抱いてんだ」
「「「「 しーーーっ!!!! 」」」」
同田貫の声に皆が慌てるも時すでに遅く、赤ん坊はパチリと目を開けた。
「ふぇ・・ふぇ、ふやぁあああああ!!」
そして当然のように泣き声を上げ、その隣で同田貫は長谷部から一発殴られた。