第1章 はじまり
「じゃあ、なんで小狐丸とか言うのがダメなのに、あそこに肩に狐乗せてる奴がいるんだ?」
そう言われ、同田貫に指をさされた鳴狐が立ち上がる。全は人差し指で自分の頬を掻きながら、少し考えるようにして答える。
「彼は鳴狐、肩にいるのはお供の狐。
んー、何故かな?九尾とか長く生きてる狐には嫌われる事が多いんだけど、若いこ達は割と大丈夫みたいで・・・親との因縁でもあるのかな?ともかく、鳴狐達は嫌がらずにいてくれてるよ」
「鳴狐も私めも、主どのが大好きにございます」
「・・・すき」
鳴狐とお供の狐が答えるのを聞き、同田貫は頭を掻く。
「狐はややこしいな」
「そうだね、そんな所もよろしく。後は大丈夫かな?
大丈夫なら、申し訳ないけどもう1人紹介したいんだ」
「もう1人?」
「そう。もう1人はもう少し遅い予定だったんだけどね」
そう言いながら、全がパンパンと手を叩く。