第6章 呼ばれた扇子と紅い王子との出会い
店ではこんな事をしているとは知らないと葵は気配が感じる林の中へ入っていた。もうすっかり夜になったが月を照らしている。
「月の光が照らしているおかげで探せるんけど、どこかいるから分からないな」
「どこから現れるはずだから油断しない方がいいかもね」
「それもそうだね……!何者ですか」
と葵にいる場所から300メートル離れた所から気配が感じて鋭い声に呼びかける。
「ーーさすがだな。『桜の騎士』よ」
「「…!」」
の通り名を知っている妖怪に警戒すると木の陰から現れたのは
「…やはり写真の通り…いや、それ以上か。なんて、美しいんだ」
悟浄の髪の色とは違う、紅い色の長い髪と紅い瞳に鋭い耳に三角のピアスを付けている妖怪の男性ーー『紅孩児』が彼女たちの前を現した。
「…貴方は何者ですか?」
紅孩児「これは失礼した。俺は紅孩児…あの牛魔王の息子だ」
「「ーー!」」
『牛魔王』の名前を出した途端と葵は更より警戒を増す。そんな二人に紅孩児は落ち着かせるように言う。
紅孩児「待て、そんな警戒しないでくれ。俺はただ能力を持つ君を捕らえに来たではなく君自身に会いに来ただけだ」
「え…」
紅孩児の言葉に確かに彼から殺気を出していないので少し冷静になるが、念のために警戒する。
「…なぜ私に会いに来たんですか?」
紅孩児「…もう一つの理由があってな。それは我が部下の迎えに来ただけだ」
「!この町が貴方の部下さんが来ているんですか?」
「そんなの分からなかったよ」
まさかこの町に紅孩児の部下が来ているとは思わなかったと葵は驚くが紅孩児は小さく顔を顰める。
紅孩児「…我が部下がこの町に来た理由を言ったら君は絶対に怒るだろうな」
「?……まさか、玄奘たちを狙っているのですか⁉︎」
「えっ⁉︎」
紅孩児「…」
予想通りなのか紅孩児は小さく申し訳そうな表情を浮かべる。は怒りに身体を小さく震える。
「…こんな事になるなら最初から一緒にいればよかった…不覚だ。葵、私を殴ってくれ!」
「ちょ…ちょっと落ち着いて‼︎今でも遅くないから急いで戻った方がいいよ‼︎」
「それもそうだね…」
小さく息を吐くは紅孩児の行動を警戒しながら鋭い瞳で睨みつける。