第6章 呼ばれた扇子と紅い王子との出会い
「…あのおじいちゃん、一体何者なんだろうね?」
「分からないけど…でもすごい人だという事は分かるよ」
「ふーん。でも、本当に何もないね」
の腕から降りた葵は改めてキョロキョロと店内を見回る。
「悟空ったらボク達の分に残しているかなあ?」
「はは…;;玄奘たちがちゃんと残してくれるよ」
「すまん、待たせたな。これがそうじゃよ」
店の奥から現れた店主は30cmある桐の長い箱が待っている。そのままの前を立つ。
「はい、開けてみなされ」
「…失礼、しますね」
店主から受け取ったは桐の箱の開ける口をゆっくり取っていると
「……わあ」
「…おお」
と彼女の肩を乗った葵は中に入った物を見たら思わず声を出した。そっと右手にその物を取った瞬間ーー
ドクンーー
「 ! 」
『ーーその扇子はお前に似合ってるぞ』
『ーー…嬉しい、ありがとう。《ーー》』
の脳裏を浮かべるのは、優しく微笑む男性から渡した物を受け取った女性は嬉しそうにしていたが顔は見えない。女性の口から名前が読み取れない。
「??」
「!あ…ごめん、葵」
「…」
その物を持ったまま固まってしまったに葵は声をかけると正気を戻って小さく謝る。そんな彼女を見た店主はじっと見つめたまま何か考えている。改めては持ったその物を広げるとーー
「ーー…!」
「わあー…開いている状態も綺麗だなー」
桜の花びらが舞い踊り、綺麗な川が流れる様子の絵が載っている扇子だ。扇子の下には飾りも付いている。まさに、神から譲った宝物のようだ。
「…うむ、思ってた通りじゃな」
「え?どういう意味ですか?」
「その扇子はずっとお主が待っていたじゃよ。ワシは気付いたらこの扇子が置いてあった理由は分からんが、恐らくそうだろうな」
「……」
店主の言葉を聞いたは扇子をじっと見つめる。なぜ扇子が自分を来る事をずっと待っていたのか、理由は分からないけどその扇子が導いていたのか、そんな気がしていた。