第6章 呼ばれた扇子と紅い王子との出会い
そんな事を気づいた葵は小さくため息を吐くがは気づいていないまま周りに見回すと、目の前にある建物と建物の隙間をじっと見つめると
「…あった!」
そう言うと建物と建物の隙間の中へ入って行った。最後まで見送った町の人々たちはハテナマークを浮かべるがそのまま立ち去った。
「…ねー、こんな所にあるの?」
「うん、向こうから気配が感じるよ。…怖い?」
「…少しけど、がいるから大丈夫だよ」
葵の言う通り入る前までの道は賑やかとは全く変わって薄暗くて静かな道だ。少し怯える葵にギュッと少し強く抱きしめて数分くらい歩いている。
「…あ、ここだ」
武器の気配が強く感じたはとある店の前に立ち止まった。薄暗くて分からないが、目が慣れてきて店の見た目が分かってきた。看板はないが入り口は少し隙間が開いてそこから光が照らしている。左右の建物とは違って一段小さな店だ。看板がない店の前を立つは入る店が間違えたかなと思っていると…
『おや、珍しいお客だ。…入りなさいな』
「「!」」
隙間から店主の声を聞こえたと葵は小さく驚くがおずおずと店の中へ入っていく。
「これはまた…べっぴんな女子(おなご)だ。今までの女の中でお主が一番だな」
入ったの姿を見た店主はあまり美しさに思わず息を呑む。カウンターで座っているのは50〜60代の男性だが見た目は白髪で黒目に老人だが若々しい。
「お世辞でもありがとうございます。…ここが武器屋で合ってますか?」
「…」キョロキョロ
が感じた武器の気配がある店の中には武器が並べていない。何にもない空間だ。店内を見渡す二人を見て老人は小さく笑う。
「合ってるよ。この店は人が選ぶんじゃなくて武器が選ぶんだよ」
「…武器が選ぶ?」
「ああ、武器自らに合う主を探して呼びかける。それがお主が呼ばれたそうじゃな」
「…」
だからこの町に着いた時から何かを呼ばれている理由は武器が自分を探しているだとはそう思っていた。老人はイスから立ち上がる。
「そう警戒なさんな。今からお主が呼んでいる武器を持ってくるから待っておれ」
そう言って店の奥へ消えて行った。残されたと葵は何とも言えないまま立っている。