第5章 悟浄の過去と覚悟
旬麗が招き入れたのは隣の家を住む女性ーー半がお昼ご飯を持ってくれた。
旬麗「お隣りの半おばさん。料理が凄く上手いんです」
半「お昼ごはん作ってきたよ!皆で食べとくれ」
悟空「うまそー‼︎これ食っていーの⁉︎」
半「ああ、もちろんさ」
半はテーブルにお昼ごはんを置くと三蔵たちを見回る。
半「おやまあ、色男揃いじゃないか‼︎あら、べっぴんな人もいるね‼︎アタシもあと10年早ければねぇ♡」ポッ
悟浄「20年の間違いでしょ、オバチャーーン」
「そんなのべっぴんじゃないですよ…///」
半「あらまあ!本当の事よ!自信を持ちな‼︎」バンッ!
「…っ、あ、ありがとうございます…」
半がの背中に強く叩くと苦笑いを浮かべ、礼を言った。
半「ーーへえ、じゃあアンタ達は西へ向かっているのかい。この村はいい所だよ、しばらくいるといい」
三蔵「少々訳ありでな。先を急いでいる」
半「いいさ、若いうちは旅をするもんだ。それにね、アタシはアンタ達に感謝してるのさ」
八戒「感謝?」
半は外で洗濯する旬麗を見て言葉に続く。
半「ああ…何せ旬麗の笑顔なんて久しぶりに見れたからね」
「…え?」
悟空「何それマジで?」
半の言葉に驚く三蔵たちだが、半は小さくため息を吐いて悲しそうな表情を浮かべる。
半「旬麗にはねえ、そりゃあ仲の良い恋人がいたんだよ。ーーだけど彼は妖怪だったんだ…
人間と妖怪…異種間の交わりが禁忌とされていることくらいアタシらだって知ってたさ。だけど二人とも本当に働き者のいい子達でね、村人達は誰もが二人を祝福していたよ。
ーーだけどそれも一年以上前の話さ。アンタ達も知ってるだろう?世界中の妖怪たちが急に凶暴化したことをーー」
ーー!
半の言葉に三蔵たちは妖怪たちが凶暴化した理由を知っているので無言になる。
半「一年前ーー村の妖怪たち全てに異変が訪れた。彼もその中の一人だった…完全に自我をなくす前に、旬麗を振り切って飛び出してっちまったのさ」
そしてそれっきり帰ってこなかった。旬麗はその日から笑顔がなくしたんだーー
自我をなくしたら愛する恋人が傷つくなら自分が彼女から去った方が傷つけなくても済むーーなんて、辛い判断だったろう…。
八戒「…じゃあこの服はその方の物なんですね」
半「…綺麗に洗濯してあるだろ?」