第4章 桜の騎士と紫と金
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『江流、《愛》というのは知ってますか?』
『え?…俺は親から捨てられたせいで親の《愛》というのは知りませんが、お師匠様が拾ってくれたのでこれが《愛》と言えるでしょうか…?』
『そうですね…私は貴方の本当の親ではありませんが、人から《愛》を知るべき事が大事だと思いますよ』
『…三蔵法師にとっては必要ないのでは?』
『…そうですね。私は家内はいませんが、家族として思っている人がいるので大丈夫ですよ』
『それは俺の事ですか…///』
優しく微笑む光明三蔵法師を見て小さく頰を染める少年時代の三蔵。
『江流。確かに三蔵法師にとっては女性と交わるのはいけない事ですが、そんなの気にしなくていいですよ』
『え?』
『ふふ…ルールを囚われなくていいって事です。江流…約束ですよ、いつかこの先に心から愛する女性が現れたら大事にするのですよ』
『お師匠様…』
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「…ーーう…玄奘?」
三蔵「…!ああ…どうした?」
「タバコを吸ったままぼーっとしてたから危ないと思って声をかけたの。…大丈夫?」
三蔵「…ああ、大丈夫だ。悪ィな」
「大丈夫そうなら良かった。葵と悟空がそろそろお風呂から戻って来ると思うよ」
三蔵「…そうか」
「お茶入れておく?」
三蔵「ああ、頼む」
あれから夕飯を済ませてからそれぞれ部屋へ戻り、と葵は三蔵と悟空と同じ部屋になって時間を過ごした。数分前、葵と悟空はお風呂へ入りに行った。
三蔵「(あの頃の俺はお師匠様の言葉の意味が分からなかったが、と出会ってから分かってきた気がしたな…)」
タバコを消しておく三蔵はお茶の用意するを見てそう思っていた。光明三蔵はなぜこんな事を言っていたのか分からないが、この先の旅しながら答えを見つけるかもしれない。心から愛する女性と共にーー
ガチャ!
悟空「っあー!サッパリしたーー」
「宿のお風呂はやっぱり気持ちいいなー」
「悟空、ありがとう。葵は大丈夫だった?」
悟空「うん、でも葵はやっぱ猫みたいだな!身体がブルブルしたぞ」
「猫ですから」
「ふふっ」
お風呂から戻って来た悟空と葵を出迎えるはそう会話したながら微笑む。様子を見た三蔵は気持ちを決めたのかたちに声をかける。