第8章 ダチュラ/沖矢※
自然と体が震えてきて
思わず沖矢さんの服の裾を
握ってしまう
すると、ふわりと
体が包まれた
沖「大丈夫です。
私が守ってあげますから…」
優しく抱き締められて
不安が薄れていく…
『沖矢さん…』
頭を撫でられて
落ち着きを取り戻した
我儘かもしれないけど
もう少し、側にいて欲しいと
思ってしまう
そっと体を離したけれど
握った服の裾を離さず
『あの…お時間がありましたら
上がって行きませんか…?
お礼と言っては何ですけど
お昼ご飯ご馳走します…』
私は適当な理由で
沖矢さんを誘ってしまった
沖「是非…お邪魔します」
顔を見上げると
優しく微笑まれた
そのまま家の中へ上がり
リビングへと案内する
沖「女性らしい綺麗な部屋ですね
良い匂いがします」
『ふ、普通ですよ…!
適当に座って待っていてくださいっ』
私はリビングから見える位置にある
キッチンへ向かい
昼食の準備に取り掛かった
沖「この部屋に、
男性を上げた事は…?」
唐突に聞かれた質問に
驚きつつもすぐに答えた
『コナンくんくらいですよ、
恋人も長い間居ませんし…』
沖「ホォー…」
この話はそこで止まり
私は料理に集中していたが
いつの間にか隣に立っていた沖矢さんに
ビックリした
沖「何か手伝いましょうか?」
『お、沖矢さんに手伝って貰ったら
お礼の意味が無いですよ…』
沖「それもそうですね…
ではここで見ていても構いませんか?」
『か、構いませんよ…』
私は沖矢さんに見守られながら
一番の得意料理を作って
沖矢さんに振舞った
昼食を食べ終わると
沖矢さんは満足気にこう言った
沖「名前さんの手料理が
食べれて幸せです」
と。
私は照れ臭くなって
そんな大袈裟過ぎます、と
笑いを返した
その後も暫くお喋りを続けて
夕方には沖矢さんを
玄関で見送る事に。
沖「仕事が遅くなる時は
必ず連絡を下さい
そうじゃなくても
寂しい夜は連絡を下さいね」
と微笑まれた
また私を励ます為の
ジョークを言ってくれて
ふふっと微笑んだ
『本当に有難う御座いましたっ
帰り道、気を付けてくださいね!』
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