第8章 ダチュラ/沖矢※
『今、何時ですか?』
沖「もうすぐ9時になるところですね」
私は二度寝をしてから
随分寝ていたらしい
少し恥ずかしくなった
沖「慌てている姿も可愛いですけど
朝食が冷めてしまいますので
準備が出来ましたら下に
降りてきて下さいね」
『朝食まで…、有難う御座いますっ』
沖「あと、これ
夜のうちに洗濯して
乾かしておきましたので
…それから使用された
下着などはゴミ箱にでも捨てて下さい…」
『あ、はい…何から何まで
有難う御座います…』
沖矢さんはニコッと微笑むと
部屋を後にした
そう言えば
昨日用意してくれた下着は
新品だったけど…
何で女性用の下着があったんだろうか
それから昨日使った下着まで
洗濯してくれてって…
私は想像して…すぐに
思考を止めた
いや、沖矢さんは
ただ洗濯をしてくれただけ。
変に意識するのも可笑しい…
これだけ親切にしてくれているんだし
私は洗濯された
自分の服に着替えて
沖矢さんに言われた通り
用意してくれた下着をゴミ箱に捨てた
洗面所をお借りして
顔を洗ってダイニングに行くと
美味しそうな朝食が
食卓に用意してくれていて
ぐぅーっと腹の虫が鳴く
テーブルを囲い
二人で朝食を食べ始めた
『美味しいです、
沖矢さんは優しくて
お料理も出来て…大学とかで
モテたりするんじゃないですか?』
沖「ふふっ…そんな事有りませんよ
彼女も出来ませんし…」
意外だなぁ…
そんな他愛もない会話をしながら
朝食を済ませて
使った食器を片付けるのを手伝った
それからお昼前には
工藤邸を出て
沖矢さんの車で家まで帰って来た
マンションの家のドアの前まで
わざわざ送ってくれて
『何から何まで
お世話になりましたっ
本当に有難う御座います!』
私は何度もペコペコと
お辞儀を繰り返した
沖「いえいえ、いつでも
遊びに来て下さい
それから、また何かあれば
相談に乗ります」
また何かあれば…
私は昨夜の出来事を思い出してしまった
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