第6章 11月7日/松田※
あれから2日が経ち
11月7日になった
私はある考えにたどり着いた
世界が一人の死を望んでいるなら
彼じゃ無い誰かを差し出せば良い、と。
杯戸ショッピングモール屋上
私は松田先輩達より
一足先にここに来ていた
聳え立つ大きな観覧車を見上げる
もう、先輩が死ぬ所を
見たくないから
私はこれで終わらせる…
パトカーのサイレンの音が
響いてくる
その時ドォンという
大きい爆発音が鳴った
先に制御盤が爆破された様だ
市民達に避難誘導がされ始めた時
バッと誰かに肩を掴まれた
松「何でお前がここにいるんだ!」
松田先輩だった
『先輩…私は何度も何度も
この一週間を繰り返しました
何度繰り返しても、松田先輩は
私の前で命を落とすんです…
もう何十回も…先輩は…』
松「何の話をしているんだ?」
『私は…このループを
今日で終わりにしたいんです
だから、あのゴンドラに
仕掛けられている爆弾の解除を
私にやらせて下さい…』
何度も見た彼の死に顔を思い出して
涙が溢れそうになるのを
ぐっと堪えた
松「…なんて顔してんだよ
それにループって…」
『先輩は何も知らなくていいんです
…何も…。ただ、あの爆弾の解除を
私にやらせて下さい』
松「…分かった。
後で詳しく聞かせろよ」
私はその言葉に
返事をせず、ただ笑顔を向けた
それから彼に背を向けて
72番のゴンドラの中へと入った
もう、これで終わり…
そう心の中で何度も呟いた
爆弾の解除に取り掛かる事なく
ゴンドラが頂上を過ぎた所で
急にゴンドラが止まった
その振動で厄介なスイッチが
作動してしまった。
水銀レバー。
その時、携帯の着信音が
ゴンドラ内に響き渡った
松〈名前、大丈夫か!〉
『大丈夫ですよ、ただ今の振動で
水銀レバーが作動した様なので
ゴンドラはそのまま動かさな…』
言い切る前に爆弾のパネルに
文字が流れ始める
『"勇敢なる警察官よ、君の勇気を称えて
褒美を与えよう…
もう一つのもっと大きな花火の
在りかのヒントを表示するのは…
爆発3秒前。健闘を祈る"
…今パネルに表示された言葉です』
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