第6章 11月7日/松田※
『…まつだ、先輩っ…
…今から、家に…来れませんか…?』
松〈分かった。直ぐに向かう〉
松田先輩がそう言うと
通話が切れた
私は床に腰を下ろして
膝を抱えて蹲った
松田先輩は二度も私の
目の前で命を落とした…
もう…死なせたりしない
暫くするとチャイムが鳴り
玄関を開けると
肩を揺らしながら
呼吸を整える松田先輩の姿
前回と同じ様に。
松「名前、大丈夫か?」
私は松田先輩の腕を引いて
家の中へ招き入れると同時に
彼の体を抱き締めた
松「お、おい、どうした?」
動揺しながらも
私の頭に手を置いて
落ち着かせようとしてくれる
『…好きです、松田先輩』
松「名前…」
『一週間後…返事を下さい』
一週間後…
絶対死なせたりなんかしない…
松「ふっ…急に呼び出して
何を言い出すかと思えば…
ほんと、可愛い奴だなお前は。
…一週間後な、約束だぜ」
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11月7日、松田先輩は
杯戸ショッピングモール屋上の
観覧車に仕掛けられた爆弾を
解除する為にゴンドラの中に入る
だが爆発3秒前に
次の爆弾を仕掛けた場所が
パネルに表示される
その次の爆弾を仕掛けられた場所が
米花中央病院。
私は二回もこの一週間を
繰り返したんだ。
次の爆弾が何処にあるか
知っていれば松田先輩は死なない
三度目の正直というやつだ
必ず爆弾を止めてみせる
犯人を捕まえて
松田先輩の親友、
萩原先輩の仇を討とう…
それから、告白の返事を
今度こそ聞くんだ
だが、現実は甘くなかった。
11月7日
観覧車の爆弾は松田先輩が止めた…
同時に米花中央病院に
仕掛けられた爆弾も止めた…
でも…それなのに…なんで…
松田先輩は本庁に戻る途中
車を運転していたら
信号を無視したトラックに
激突され…即死した…。
そしてまた私は11月1日に戻ってきた
.