第6章 11月7日/松田※
11月7日
彼は告白の返事をしてくれることは無かった
私は一週間前に見たのと
同じ光景を今、見つめてる
杯戸ショッピングモールの
屋上にある止まった観覧車
72番のゴンドラの中に
仕掛けられた爆弾を解除する為に
松田先輩は中へ入って行った
『……なん、で…』
地面に座り込んで
ただゴンドラから出る黒煙を眺めていた
『返事…まだっ……
…聞いて、ないのに……』
苦しい…
痛い…
『ぁああああーー!』
脳の血管が切れてしまうかと
思うほど泣き叫んだ
視界が、脳が真っ白になる
"米花中央病院"
私は一週間前と同じ様に
意識が飛とんでしまった
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『っ!……はぁ…はぁ…』
ハッと意識が覚醒して
ベッドから飛び上がった
『今、何日…!?』
私は枕元に置いてあった携帯の
待受画面開き
日付を確認した
『…11月1日…』
また日付が巻き戻っている…
ふと、手首に目をやると
刻まれた数字が98となっていた
何を表しているのか分からない数字。
だが、このループに
何かしらの関わりを持ってると
考えていいだろう
それより松田先輩が
生きているのか確認を
取らなければいけない
私は手元の携帯から
松田先輩に電話をかけた
3、4回程コールが鳴った後
呼び出しの相手は電話に出た
松〈どうした?名前?〉
声を聞いて安堵した
『…松田先輩…』
松〈元気ねぇな、どうした?
何かあったのか?〉
優しい声色に涙腺が緩むのを
ぐっと堪えた
『…すいません、
…寝惚けてかけちゃったみたいでっ』
笑って冗談を言ったつもりだった
松〈…名前〉
でも、そんな事
松田先輩はお見通しで
松〈何があった?〉
『……ほんと…何でも…
分かっちゃうんですね…っ…』
堪えていた涙が
ぶわっと溢れ出した
.