第3章 獣化注意報〜赤井の場合〜※
赤「…もう一度言うが
にゃあって言ってみてくれ」
『やだ。にゃんでそんな事…あっ…』
赤「ふっ…」
『笑うにゃ!』
赤井さんは私の頭撫でながら
すまんすまんと謝った
だんだん言葉までちゃんと
喋れなくなってきて
不安が募った
どうしよう、このまま
本当に猫になってしまったら…
赤「そんなに不安か?」
『…え……顔に出てた?』
赤「それもそうだが
耳が分かりやすく垂れてくれたからな」
私は慌てて
頭に生えた耳を手で隠した
赤井さんの手が脇の下に伸びてきて
優しく体を持ち上げられると
膝の上に乗せられた
本物の猫を撫でる様に
わしゃわしゃと頭を撫でられて
きゅっと目を瞑る
赤「安心しろ、必ず治す方法を
見つけてやるからな」
『うん…』
そんなこんなで獣化が発症してから
3日程過ぎた頃
未だに発症の原因が分からず
もう治らないんじゃないかと
諦めかけていた
獣化してから体に起こった変化は
お風呂が嫌いになった事
前まで何とも思わなかった水が
怖くなった
後は寒いのもダメ。
赤井さんに頭を撫でてもらうと
気持ちが良い。
後は聴覚が良くなった事
『あ〜この日当たりの良さ最高だにゃ〜』
暖かい太陽がほぼ真上に上がる時間。
私はベランダへ繋がる扉の前の
フローリングでゴロゴロしていた
『このまま猫になっちゃったら
どうしようかにゃ…』
赤「そうなったら俺が飼ってやる」
『赤井さんに飼われるくらいにゃら
野良猫ににゃる』
赤「何故嫌がる」
私はむくっと起き上がって
フローリングに座ると
側に寄ってきた赤井さんを見上げた
『だって無理やり
お風呂に入れるんだもん』
あれは忘れもしないお風呂事件
丁度2日前の夜の事
お風呂に入ろうと
浴室まで行ったのは良いけど
何故だかお湯にかかるのが怖くて
浴室の扉の前で立ち止まっていた
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