第10章 俺の上司は運命の番/赤井※執筆中
赤「君は俺の匂いを感じ取ったはずだ
気付いたんじゃないか?
俺が運命の番だと」
彼女は何も言わず
俺の腕から逃げようともしなかった
赤「名前…」
額に掛かる髪を避け
そこにキスをする
頬に手を添え
掬う様に顔を上に向けさせると
涙で潤んだ瞳がこちらを見つめる
濡れた目元を優しく
親指で拭う
『…やだ…』
小さく返答をされた
赤「何が不満なんだ?」
彼女は視線を逸らす
『…こんな簡単に…
…決めていい事じゃない…』
ふむ。確かにそうだ。
赤「君の意見を最優先にしたい」
彼女は視線を逸らしたままで
『……無理矢理…
噛もうとしたのに…?』
どうやら最中の記憶は
しっかり彼女に残っている様だ
俺は彼女の体を離すと起き上がり
彼女に背を向けベッドに腰かけ
タバコに手を伸ばす
赤「…怖い思いをさせないと
言ったのに、理性を飛ばして
怖い思いをさせたのは俺だ」
一本タバコを咥えると
火を付けた
赤「αの本能を
抑えられなかったのも俺だ」
誤魔化そうとはしない
ただ自分の気持ちを
彼女に伝えたい
自分自身を落ち着かせるように
吸い込んだ煙をゆっくり吐いた
俺は後ろにいる彼女の方を
振り向き手を伸ばし
頬を撫でた
赤「すまなかった
だが、俺は君を大事にしたいと
思っている
無理矢理番にしたくはない」
『赤井君…』
赤「女を泣かせるのは趣味じゃない」
灰皿に吸いかけの
タバコの灰を落とし
もう一吸いすると
火を消した
赤「番の事はゆっくり考えてくれ」
彼女は小さく頷くと
瞼を閉じ再び眠りについた
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