第12章 出向
ナイトアイの話にはたくさん旨みがあった。
だけど……。
「それは出来ません。僕には大切な人がいるので。僕は彼女に、ヴィランになってもいいから君のヒーローになると誓いました。だから、僕らはあなた方の敵で居ます」
僕は優しく微笑んで見せた。
本当はヒーローになりたい。個性をもらったのなら尚更……。
だけど、この個性は玲奈の父親から授かったものだ。だから、止めるワケにはいかない。
「では、さようなら」
僕はそう言って、指を鳴らした。瞬間移動をして、アジトに戻った。しかし、死柄木達は居なかった。
予定通り、オーバーホールに決死行をするのだろう。
「玲奈、ただいま」
玲奈はエリちゃんと一緒にソファーで寝ちゃってる。可愛い。
「デク、あの男のサイドキックになって良かったんじゃねぇか?あのリーマン男なら、アイツも預けてくれたんじゃねぇか?」
かっちゃんの言われた通りである。だけど、僕はそんな幸せを望まない。どうせ、玲奈が世界を変えてくれるのだから。
「かっちゃん、焦凍。この敵連合が勝利、または敗北をしたら、玲奈が世界を元に戻すと言ってくれたんだ。だから、僕は彼女と一緒に居るよ」
「……あっそ」
かっちゃんは一息吐いて、ソファーで寝転んだ。