第12章 出向
「友情を確かめ合うのは良いが、ちゃんと仕事はしろ」
オーバーホールがエリちゃんを抱えてそう言った。彼らは先に逃げるようだ。
やっぱり、死穢八斎會を潰した方が良い。だって、僕には感じ取れる。死柄木があからさまに彼らを嫌がっていること。
「オーバーホール様」
僕は彼を呼んだ。彼は少しイラついているようだ。
「エリちゃんを危険に晒したくなければ、僕の彼女が預かりますよ。そっちの方が確実に安全で、ヒーロー達に見つかることはないでしょう」
オーバーホールは少し考える素振りを見せた後、僕にエリちゃんを差し出してきた。
「お前の彼女はとても良いヤツだって知ってる。頼む」
「はい!」
僕は瞬間移動をして、エリちゃんを玲奈に渡す。
『出久、何で……』
「八穢八斎會は必ず潰れるし、何よりエリちゃんが可哀想だから。玲奈、守ってあげて?」
僕が頭を撫でると、彼女は嬉しそうに頷いた。
そして、僕は瞬間移動をして、また戻った。既にオーバーホールは居なかった。
「出久、何をするんだ?」
焦凍が僕に訊いてきた。僕はニヤリと笑った。
「八穢八斎會を潰す」
二人は僕の言葉に息を飲んだ。
突然こんなことを言われたら、誰だってビックリするだろう。