第12章 出向
エリちゃんは逃げ出して、学生のヒーローに出会してしまったらしく、オーバーホールも姿を見せてしまったようだ。
それによって、ヒーロー達に攻められているのだ。
「久々に個性使うとなっと、腕が鳴んなぁ」
「かっちゃん、ヴィランが似合うね」
「ああ!?うっせーよ、クソデク!」
かっちゃんの言葉に僕がツッコミを入れると、怒鳴られた。
「お前ら、本当に仲良しだな」
焦凍がそう言うと、かっちゃんは鼻で笑った。
僕達三人はいつも行動を共にしているせいか、とても仲が深まった。
いつも言い合いもただの友達同士の戯れでしかないのだ。
こうなるのがもう少し早ければ、僕はヒーローになれていたのだろうか。
「テメェ、時々悲しそうな顔すんなぁ」
かっちゃんがため息を吐くように言った。
「いやぁ、仲良く出来るのがもう少し早ければ、僕が狂っていなければ、ヒーローになれてたのかなって……」
僕の言葉に焦凍も振り返る。かっちゃんも悲しそうな顔をした。
「考えてみりゃそうだ。記憶を思い出して、みんな仲良くなっちまってる……お前にとっちゃ複雑だな。本当に、申し訳ねぇ……」
かっちゃんは消え入りそうな声でそう言った。
かっちゃんにとっても複雑だろう。自分の罪で僕がヴィランになったにもかかわらず、自分をヴィランにさせたのは僕だから。そして、仲が深まってしまっているのだ。
そして、焦凍は微笑んで言った。
「俺を変えてくれたのはお前だろ?お前がヴィランになってなきゃ、今の俺は復讐心で壊れていたかもしれねぇ。俺はお前に感謝してんだ」
焦凍はそう言って、僕の肩に手を置いた。
「ヴィランになってからの初の対戦だ。驚かせてやろう」
焦凍にニヤリと笑った。僕らはその言葉に頷いた。
迷ってる暇はない。頑張らなきゃ。