第11章 俺の記憶
「危険なことは出久にダメだと言われてるんだ」
「出久が?まぁ、出久は優しいし、大好きだよ」
「そうか……」
焦凍が頭を左手で撫でてくれた。カイロみたいに暖かい。
なんか、頭が痛い……。
――お前のせいで、僕はこうなったんだ!
今度は出久に似た声が聞こえる。
「勝己、頭が痛いのか?自室で寝るか」
焦凍に支えてもらって、なんとか立つ。そして、俺の部屋に連れて行ってくれた。
「一度寝た方が楽になるぞ。少し休んでな」
「うん……ありがとう、焦凍」
俺の言葉に目を丸くする焦凍。
何で、俺の反応一つ一つで周りはこんなに驚くのかな。
――出久を返して!
――お前のせいなんだよ!
――爆豪にも旧友なんて居たんだ。
色んな声が聞こえる。
思い出しちゃいけないものを思い出しそうで怖い。
――かっちゃん、お前を殺してやる。