第10章 死穢八斎會
「気が変わった。そこのガキ共、頼みがある」
治崎の言葉に敵連合の者は首を傾げた。
「死人出すほどの怖い物ではない。ただの頼み事だ。付いて来てくれ」
僕と玲奈、焦凍とかっちゃんは治崎に連れて行かれた。
着いた場所は、死穢八斎會の本拠地であった。
開かれた扉の先に居たのは、幼い女の子であった。
「エリ、紹介する。新しく入ってきた者だ」
その女の子は酷く震えていて、怯えている様子だった。
僕はゆっくりと近づき、微笑んで頭を撫でた。エリという少女は目を見開いていた。
「大丈夫。僕らは子供だ。君に悪いことなんてしないよ」
僕らはそれぞれ闇を抱えている。かっちゃんに関しては僕が変えてしまったから話は別だが、焦凍も玲奈も闇を抱えている。
「僕は緑谷出久だよ」
『私は玲奈だよ。よろしく、エリちゃん』
「俺は轟焦凍だ」
「俺は爆豪勝己、よろしくな!」
エリちゃんは安堵の表情が見えた。
ずっと怖いヴィランに怯えながら生きてきたのだろう。
「大丈夫だよ。僕らも一緒だから」
「……うん。ありがとう!」
エリちゃんは嬉しそうに微笑んだ。