第1章 笑顔が美しい君
雄英高校では入試が行われる当日、午前6時だった。
「わぁぁぁああ!!」
雄叫びを上げ、倒れそうな僕を誰かが支えてくれた。それは、死柄木だったのだ。
「本当、スゲーな。俺には到底出来ないよ」
死柄木は複製手の奥でクスッと笑った。そんな死柄木に僕もあははと笑った。
「皆さんにここまで優しくしてもらえて、僕は本当に恵まれてるなぁ……」
「はぁ?ヴィランは恵まれてなんかねぇぞ」
「あはは……僕はこれでも幸せです」
僕は笑って見せると、死柄木は言った。
「それは、アイツが居るからだろ」
アイツとは、玲奈のことだろう。
確かに、僕は彼女に出会ってなければ、こんなことはしてなかっただろう。
「これからずっと一緒に居るうちに、お前も歪むな。愛も性格も」
死柄木はそう言って、目の前に広がる世界を見た。
目の前にある海から日の出が出て水平線が見えている。ゴミがあったのが嘘みたいだった。
朝の潮風がとても心地良かった。