第9章 新しい友達

「完全否定か……。個性は自分の力なんだよ。親なんかに囚われる必要ないと思うんだけど……」


この先を今の彼に言って良いか悩んだ。


誘い方を間違えれば、彼は僕を切り捨てるかもしれない。


「いやぁ、俺はお前らになら話せると思っただけだ」


「うん。だから、話してくれて嬉しかったよ。ヴィランになったこんな僕らにね」


きっと、彼は僕らを信頼して話してくれたんだ。


「あまり怖いことは言いたくないけど、君の捨て身の選択肢として考えてほしいんだよ」


「何だ？」


これを言っても良いか悪いのか分からない。


だけど、彼に受け入れてもらうにはそうしかないんだ。


「完全否定というなら、お父さんの個性を使ってヴィランになっても良いと思う。お父さんに復讐するのもアリだと思うんだ」


焦凍は、かなり理解出来ていなそうな顔をしている。


「僕らはなぜ、ヒーローと戦うのか。それは、ヒーローもヴィランも居ない個性など関係ない世界に戻すためだよ」


僕らは超常が起きる前の、普通の世界に戻すんだ。


「まぁ、捨て身の策って感じだよ。お母さんを変えたお父さんに復讐するのには良い策かもしれないけど……じっくり考えてみると良いよ」