第9章 新しい友達
チーズケーキを冷蔵庫で冷やしている間、僕らは雑談を楽しんでいた。
『轟君のお父さん、エンデヴァーなんだね。ヒーローに無知過ぎて誰かも分からないけど』
「アイツは最低な人間だ。アイツのせいで母さんはああなったんだ……」
何か闇が出ている様子に気付き、僕と玲奈は顔を見合わせて頷いた。
「出久、お前は知ってるだろ。個性婚」
僕は焦凍の言葉に頷いた。
「アイツはオールマイトを越えるために俺をつくった……」
背筋が凍るような感覚がして伸びる。
焦凍の顔を少し強張っていた。
「俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たそうってこった。鬱陶しい!そんなクズの道具になんかならねぇ」
『えっ……』
「“お前の左側が醜い”と、母は俺に煮え湯を浴びせた」
焦凍の話にゾッとした。言葉も出なくなった。
「だから、俺は左を使わねぇ。アイツを完全否定する」
僕は焦凍の手に触れた。焦凍がビクッと体を震わせる。
「そっか。話してくれてありがとう」
僕がそう言って微笑むと、焦凍の目が見開いた。