第9章 新しい友達
僕の個性で瞬間移動し、第三アジトに着いた。
第三アジトは築三年くらいの新しい空き家だったが、僕と玲奈のためにお義父さんが買ってくれた家だ。セキュリティも強いので安心。
「アジトのクセに洒落てる家だな」
「ここは僕の彼女と住むマイホームらしいんだけど、彼女のお義父さんが先に買ってくれたんだよね」
「彼女か……スゲーな」
彼の中でヴィランのイメージを良い感じに変えれば、彼も信頼してヴィランになれるだろう。
「僕の個性は彼女のお義父さんからの貰い物なんだけど、けっこう何でも出来てね……かっちゃんを記憶喪失にしたのも僕だよ」
轟君の顔はずっと固まって動かない。イケメンらしくて良いけど、少しほぐしたいな。
「焦凍って呼んで良いかな?あまり堅いのは嫌だからね」
「じゃあ、俺も出久と呼ばせてもらう」
僕はニコッと微笑んだ。すると、焦凍は言った。
「どうして、ヴィランなのに優しいんだ?俺みたいな奴が嫌いじゃないのか?」
それを聞かれて僕は笑った。
「僕は元ヒーロー志望者だからね。ヴィランになった理由は彼女を助けるためになったようなものだよ」