第9章 新しい友達
轟焦凍の心を掴むとはいえ、本人と接触しないと始まらない。
しかし、雄英高校は全寮制になってしまったので、偶然を装う以上策がない。
それを願って外を歩いているのだが、中々巡り会うことはない。
新たな策を考えるか……。
ジュースを買おうとした時、自動販売機のところにあの轟焦凍が居た。
「えっと、轟君?」
「お前は誰だ?」
「僕はかっちゃんの幼なじみ。えっと……」
素直に名乗った方が良いのか悪いのか……。
「……緑谷出久、だろ?かっちゃんって呼ぶのはアイツの幼なじみだけらしいからな」
「おっ、正解だよ。えっと、ねぇ……」
口止め出来るのか……。
でも彼は無口なイメージがある。闇を抱える人間は狂うか無口になるって感じだから。
「何も言わねぇよ。爆豪の幼なじみには興味があったしな。幼なじみをヴィランにしちまうのも想像出来るな」
「彼は記憶を無くして別人になったけどね」
「はっ?」
けっこう食い付いてくれてるようだ。
地道に良い関係を築けば、ヴィランになってくれるだろう。
「人目の無いところで話したいな」
「ここは充分人目が無さそうだが……」
「第三アジトなら他のヴィランも来ないし、安全地帯だよ。あそこはほぼ空き家みたいな感じだけどね。まぁ、行こうよ」
「……」