第6章 悲しみの終止符
「お前こそふざけるな!」
出久が私を守ってくれた勝己君を蹴り飛ばした。
「今更偽善者面するなよ!お前のせいで、僕の全てを失った……お前こそ、殺されるべきなんだよ!」
出久の顔は恐ろしく黒かった。
「僕の個性なら何でも出来る。殺されるか、記憶を消すか、どちらか選べ!」
出久は勝己君の上に乗り、首を絞めようとしている。
『止めてよ!出久!』
もう私のせいで世界が狂うのは嫌なんだよ。
全てを元に戻さないといけない。
私は立ち上がって、胸元で手を合わせた。
『出久、大好きだよ。だから、止めようよ』
「玲奈……」
全身が神々しく光り輝く。
『世界よ、真なる方向へ!』
やっと、悲しみに終止符を打てた。
元の世界に戻せたよね。
今まで生きてきた世界も忘れちゃうんだろうな。
もしも、もう一度会えるならちゃんと言いたいな。
出久、愛してるよ……。
私は光に吸い込まれていった。
『バイバイ、出久。また会おうね……』