第6章 悲しみの終止符
玲奈side
止めてよ、そんなこと言わないでよ。
愛してくれるのは嬉しい。すごく嬉しいよ。
それでも、彼が変わっていくのが怖くて見ていられない。
もう止めてよ。ねぇ、出久。
『止めて……出久……』
震えた声では届かない。
彼は少し離れたところで勝己君と交戦中だ。
「死ねぇぇえええ!」
そう叫びながら勝己君に暴力を振る出久の顔がとても恐ろしいものになっていた。
オールマイトは私達が居るせいか、お父さんに負けそうになっている。
平和の象徴、オールマイト。
助けてよ。出久を、ヒーローにしてあげて……。
「オールフォーワンの娘か、消した方が良いな」
目の前にはおじいさんの黄色いコスチュームのヒーローが居た。
全ては私のせいなんだ。だから、殺されるのも私の定めだ。
「止めろ!!」
私の体に覆い被さったのは、勝己君だった。
「デクの大切な物を無くすなよ……無くした俺が言えることじゃねぇけど、コイツはデクの光なんだよ!」
「勝己君……」
きっと、出久が自分のせいでヴィランになったのを悔やんでいる。
きっと、誰もが出久がヴィランになったことで悔やんでいるのだろう。