第5章 笑顔の裏に恐怖
『お父さん……』
「なんだい、玲奈」
モニターの奥でお父さんの声がした。
死柄木は自室に行っていて居ないし、出久やその他の人はアジトに居るから大丈夫だと思ったのだ。
『お父さん、怖いの。私のせいで出久の人生を狂わせたんじゃないかって、怖くて……』
「そうか。実は話さなければならないことがあったんだ」
お父さんの声が一気に暗いものに変わった。
「玲奈は無個性じゃない。『世界操作』という強力過ぎる個性を僕が遠くから抑えてたんだよ」
『世界操作……』
まさか、自分に個性があるなんて思っていなかった。名前を聞く限り強個性だと思われる。
「僕が弱まっていったせいか、力も抑えることが出来なくなってしまったんだろうね。力を制御出来ない自分を責めるそういう考えもあるよ」
私が力を制御出来ていないからダメじゃないの……?
「出久君自身が決めたことなら話は別だ。彼がこの世界で生きると決めたなら出来るだけ尊重してあげてほしいが、ちゃんと相談し合って考えるのも良いよ」
お父さんの言葉に私は俯いた。
力がどうとかの問題ではなく、出久自身の選択なら何も言えなくなる。