第5章 笑顔の裏に恐怖
間章 恐れるもの
出久は幸せそうに私を体を這いずる。慣れたと言ったら嘘になる。
不安で不安でたまらないの。
出久が豹変していくのが怖い。
「僕は玲奈が居るから生きれるんだ。玲奈、大好き」
『出久……』
やめてよ、戻ってよ……。
純粋な君に戻ってよ。
彼を変えてしまったのは私のせいなんだ。
――僕はかっちゃんが憎い。この世界が憎い。
言動がまさにヴィランと言えるものになっていくのに恐怖を感じた。
USJ事件の時、勝己君を蹴りつけるその顔はとても醜いものだった。
その醜い笑顔も好きなの。
私も出久に出会って狂ったの。
「玲奈、愛してるよ」
私も愛してるよ。愛してるからこそ、君には幸せに生きてほしいの。
私から離れて、幸せに生きてほしい。