第4章 保須市でデート
服を購入した後、フードコーナーに向かった。
「あっ、デクとエマちゃんじゃん!」
『あっ』
通称電気君とテープの人が居た。
「爆豪の旧友さんか、あり得ないなぁ。俺は瀬呂範太。よろしくな」
「よろしく、瀬呂君」
『よろしくね』
この人も良い人そうだな。かっちゃんとは真逆な人間だ。
「もしかして、二人はデート中?」
『当たり!』
「あーそうだよな!邪魔してゴメン!」
電気君が僕らに謝って、瀬呂君を引っ張って去って行った。
『面白い人達だね』
玲奈は嬉しそうに笑っていた。
僕らはショッピングモール内にある喫茶店に入った。静かな空間で人も少なくて丁度良い。
『ねぇ、出久……』
「何?玲奈」
運ばれたココアを飲みながら彼女は暗い顔をした。
『出久が好きなのはヒーローだよね?私のわがままのせいで人生を変えちゃって、本当にごめんね』
未だに玲奈は悩んでいたらしい。僕が弁解しようとすると、彼女は言った。
『昨日とか思ったの。私が出久を狂わしたんだって。出久はもっと素晴らしい人になれたのに私のせいで……』
「玲奈、僕は……」
『逆に私を連れ出してくれたら、出久はヒーローになれたのかなって……出久の選択が悪いんじゃない。私のヒーローになってくれるのは嬉しい。だけど……』
僕を捉えたその瞳は潤んでいた。その真剣な顔に弁解しようとも出来ない。