第4章 保須市でデート
『出久、髪型を一気に変えよう!』
そう言って、彼女はハサミを持っている。本当に不安でたまらないんだけど。
「俺がやる」
ステインはそう言って、僕の髪を切り始めた。ステインって、こんなキャラだっけ?
「どうだ」
「おお!すごっ……」
目の前の鏡に映る自分は、まるで自分ではないように見えた。
「極端に短くなりましたね」
黒霧が僕の髪型を見て、驚いている。
『よし、行くぞー!』
「うん!」
僕はジーンズにTシャツにパーカーを羽織って、黒縁眼鏡を掛けている。
玲奈はデニム生地のスカートと爽やかなシャツみたいな服を着ている。
「可愛いなぁ」
『いやぁ、出久もヤバい……』
刈上げなんて初めてした。あんなモジャモジャ頭よりは楽だ。
『行ってきます!』
「行ってらっしゃい」
ステインに見送られ、僕らは保須市に向かった。
『デートだ、デート!』
「上機嫌だね」
『出かけるなんて初めてだよ!』
楽しそうな彼女を見ると、僕の足取りも軽くなっていく。本当に楽しいな。