第1章 笑顔が美しい君
「僕が初めての友達になるよ」
彼女は僕の言葉に目を見開いた。か細い声で僕に言った。
『本当に、良いの?私……ヴィランだよ……』
「いいよ。僕は君を守りたい。ヴィランになっても良いから、君のヒーローになるよ」
友達になりたいから、君は僕に話しかけたのだろう。
僕は彼女の話を聞いて守りたいと思った。どうせ、ヒーローは無理ならヴィランになっても良いだろう。
『でも、夢は……?』
「諦めるよ。ヒーローなんて、明らかに無理だよ」
ヒーロー志望なんて捨てても良いと思えたんだ。
こんなに辛そうにしている人を見たら、助けたくなるんだ。
「名前、教えてくれる?僕は緑谷出久だよ」
『私は玲奈。名字はわからない』
「そっか……」
玲奈か、良い名前だと思った。
「ねぇ、僕を連れて行ってくれる?その敵連合に」
『えっ……』
「僕を拐ってほしい」
彼女は涙を流していたが、了承してくれた。
『うん……』
彼女は僕の手を取って、共に歩き出した。