第3章 体育祭観戦
「逆に俺らがびっくり。コイツに旧友が居たなんて」
赤い髪の人が笑って言っていた。
犬猿の仲とは言わない方が良いか。
「お二人共、お名前は?」
どうしよう。僕は行方不明者だから名前なんて言ったら警察に連行される。玲奈も言ったら危ない。
「……デク。コイツのあだ名」
かっちゃんがそう言った。悔しいけど、ナイスフォローだ。
「コイツのあだ名は……何だっけ?エマか?」
『あっ……うん』
エマって悪い女って意味だよ?僕がこうなったからそんなあだ名にしたのだろうか。
「ふーん。デクとエマ、よろしくな」
『うん!』
でも、君らは僕らにとって敵だ。
敵同士で仲良くするなんて、あり得ない話。少し申し訳ない気持ちになった。
「エマちゃん可愛いね。この後どっか行かねぇ?」
「えっ……」
黄色い髪の人の言葉に隣の玲奈は目を輝かせていた。外でご飯を食べるのは初めてなのだろう。
「うん、行こう」
『やったー!外食!外食!』
「エマちゃん、喜び過ぎ」
みんなで約束をした後、かっちゃん達は試合のために自席へ戻って行った。