第3章 体育祭観戦
ここからは休憩時間に入る。ちょっとしたレクリエーションもある。
「僕らもなんか食べようか」
『そう言うと思ったから……じゃじゃん!手作り弁当!』
玲奈はそう言って、弁当箱を僕に渡した。
『出久のは多めだよ。男子ってよく分からないから』
「ありがとう!」
僕は彼女が作った弁当を食べようと思った時だった。
「デク……」
かっちゃんが居て、僕らは肩を震わせた。
トップの登場により、周りは自ずと席を空ける。僕の隣にかっちゃんは座った。
「テメェらが居ることは言わねぇよ」
かっちゃんは俯いて、嘆息を吐いた。
「デク。テメェ、どうして、ああなっちまったんだ?」
肩がビクッと震えた。
『それは、私が……』
「玲奈は違うよ。何も悪くない。かっちゃんがいけないんだよ」
もしも、かっちゃんにいじめを受けてなければ、僕は彼女に出会って話を聞いても、拐ってなんて言わなかった。頑張って助けようとしたと思う。
あの時はとにかく苦しくて、誰かにすがりたかったんだ。
「やっぱり、テメェは戻らねぇよな」
「戻る?そんなわけないだろ。戻るならご免だ」
かっちゃんはまた嘆息を吐いて立ち上がった。
「あっそ。俺は昼飯食ってくる」
『勝己君、お弁当余ってるけど……』
「はっ?」
結局、僕らは一緒にお弁当を食べた。
「俺は何があってもテメェを取り戻す。いいな?」
「上等さ。さらに強くなって来るから」
お互い顔を見合わせた後、かっちゃんは友達のところに行った。
アイツ、変わったなぁ。