第3章 体育祭観戦
ここは一年生が戦うステージだ。僕らは運良く開いている着席に着いた。
「楽しみだね、玲奈」
『うん!楽しみ!』
僕はそんな可愛い彼女の頭を撫でた。彼女は恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。可愛い。
――一年ステージ!生徒の入場だ!
プレゼントマイクの声が響き、一年生が入場する。その中にかっちゃんも居た。
「選手宣誓!」
今年の一年主審は18禁ヒーローのミッドナイトか。18禁なのに居ても良いのか。
「選手代表、爆豪勝己!」
「えっ、嘘だろ……」
僕は思わずそう呟いた。彼なら入試でトップの成績で入ることなど容易いものだったのか。
「せんせー、俺が一位になる」
絶対やると思った!
「せめて跳ねの良い踏み台になれ」
周りからはクレームが来ている。呆れるなぁ。
『勝己君、ナレシスト過ぎない?』
「まぁねぇ、自分の個性に自信を持てる人だから」
第一種目は障害物競争。
珍しいくらいにかっちゃんが追い抜かれている。一位は轟という紅白頭の少年だ。
――爆豪勝己、飛んだ!?
足から全身に力を入れて、彼は一気に飛んで行った。
あんなの、かっちゃんが持ってる個性じゃない。オールマイトみたいだ。
かなりの爆速長距離ジャンプで、トップが居る地雷ゾーンに着いた。
「半分野郎が、調子乗るんじゃねぇ!」
最初にステージに戻って来たのは……。
――爆豪勝己!お前ら好みの展開だ!
予選通過42人。僕もその内に入りたかったなぁ。
『やっぱりすごいね。勝己君』
「いやぁ、そうだね……」
おかしい。かっちゃんはあんな個性、持ってるはずがないのに。