第2章 USJ事件
保健室には、骨みたいなヤツが居た。本人曰く、これがオールマイトのトゥルーホームらしい。あのオールマイトが、あり得ねぇ。
「あれは行方不明者の緑谷出久という少年だろう?」
オールマイトがアイツを知っていたことに驚き、俺はただ頷いた。
「緑谷少年は、我らがワンフォーオールの敵であるオールフォーワンから個性をもらったはずだ。彼は完全なるヴィランになってしまった」
ワンフォーオールにオールフォーワン、意味が分からねぇよ。
「私の個性は受け継がれてきたもの。冠された名はワンフォーオール。オールフォーワンに対抗する個性だ」
あのオールマイトの個性が受け継がれてきたもの?
「きっと、緑谷少年は次世代のオールフォーワンになるだろう。彼はオールフォーワンの愛娘を虜にしていたからな」
あの隣に居た女は、オールマイトの敵の娘かよ。ということは、デクは最強のヴィランになっちまうのか。
「なぜ、私がこの姿を晒したか分かるか?」
受け継がれてきた個性……まさか……。
「爆豪少年、君は個性を受け継ぐのに値する。彼を元に戻すのは、君しかいないんだ」
俺がオールマイトの個性をさらにもらって、アイツを倒しに行くというのか。
「君が完膚無き勝利を望む者だと知ってるからこそ言うんだ。頼む、オールフォーワンを倒すには、緑谷少年を救うには、君しかいないんだ」
オールマイトの腹の傷はとても痛々しかった。もう限界が来てそうだ。
「……受け継ぐ」
「良かった!ありがとう」
オールマイトは大きくなって髪の毛を抜いた。
「食え」
「はっ?」