第2章 USJ事件
『出久!』
下から愛しい声がした。玲奈が居たのだ。
僕は下に降りて彼女の元へ向かう。
「玲奈……」
『出久、私のせいでごめんね。私が話し掛けてなければ……』
玲奈は申し訳無さそうに俯いた。僕は彼女の頬に触れた。
「大丈夫。僕は君のヒーローになれるならそれで充分さ」
きっと黒霧がこんな僕に気遣ったのだろう。
「私が来た!」
後ろを振り向くと、憧れだったオールマイトが居た。しかし、いつものように笑っていなかった。
「オールマイト……」
「待ったよ。社会のゴミめ。緑谷と玲奈はどこかに逃げろ」
僕は死柄木の指示に従い、玲奈を持って空を飛んだ。
しかし、オールマイトと脳無の激戦はかなり迫力が強く、僕らは飛ばされてしまう。
スナイプが僕らに銃を向けていた。逃げようにも風が強くて動きにくい。
その瞬間だった。
かっちゃんが僕らの体に突っ込んで、下に突き落とした。
「デクを殺すんじゃねぇよ!」