第2章 USJ事件
仮面の中で涙が伝う。
これで正解だったんじゃないか。
自分で彼女の友達になるって決めたじゃないか。
しっかりしろ、僕はヴィランの緑谷出久だ。
「いいなぁ……かっちゃん。僕も仲間に入れてよ」
僕は高く舞い上がると、世界は闇に染まった。
地面には亀裂が入り、バリバリと崩壊していく。
「緑谷出久!暴走はダメです!」
黒霧が僕を止めにワープゲートを開く。僕のそれを弾いた。
「無個性だっただけでヒーローになれない?ふざけんなよ……僕も人間だ。夢ぐらい見てしまうだろ」
「デク……デク!」
かっちゃんが蔑称で僕を呼び続ける。それがいけないんだよ。
僕だって、普通に生きたかったんだよ。
――出久。
玲奈のために僕は生きるんだ。
彼女のヒーローになるのが、僕の夢だったじゃないか。
「個性の有無、個性の強さで差別するなんて馬鹿馬鹿しいよ……」
「デク!悪かったから戻れよ!」
「戻るわけないだろ。僕は彼女と一緒に生きるんだから」
ああ、僕はかなり狂ってしまったようだ。
「緑谷、リーダーの俺より目立つなよ」
もはや、死柄木の声も聞こえない。
「デク!」
かっちゃん、君に最高の復讐を……。