第2章 USJ事件
「ほら、かっちゃん。君の担任が殺されかけてるよ」
向こうでは、脳無がイレイザーヘッドを潰していた。
「最高だね。君もそんな風にしようかな?」
「デク……じゃねぇ、のか……」
そんな弱々しいかっちゃんに僕はニヤリと笑った。
「違うよ。あの木偶の棒のデクじゃないよ。僕はヴィランさ」
彼は、言っている意味が分からないという顔をしている。
賢いかっちゃんならとっくに気付いてるはず。僕があの緑谷出久だって。
「さすがにワンチャンダイブする勇気はなかったよ。彼女に出会えて良かったよ」
僕がニヤリと笑うと、かっちゃんの顔は一気に血の気が引いていく。
「爆豪!」
赤い髪の男がかっちゃんの元に駆け寄る。
「クソ髪、来んじゃねぇ……コイツを狂わしたのは……俺だ」
「爆豪!どういうことだよ!」
弱々しいかっちゃんを支えながら赤い髪の人は話し掛けていた。
「かっちゃんにも友達が出来たんだ?良いなぁ」
「デ、ク……」
かっちゃんが弱々しく手を伸ばそうとした。
「お前、爆豪に何してんだよ!」
「クソ髪……俺らの事情知らねぇクセに、口挟むな……」
「爆豪!俺は……」
「黙って、くれ……」
僕も彼女に出会わなければ、こんな人生を歩めたのかもしれない。
でも、僕は彼女に出会って正解だと思っている。
だけど……。
「羨ましい……」
そう呟いてしまった。