第13章 文化祭
あの時、俺を拐ってくれって言えば良かったのかな……。
お風呂に入っても、誰かに話しかけられても、俺の頭には玲奈のことしか頭に無かった。
俺は授業もまともに受けられなくなってきた。
ホントに俺はヒーローになりたいのか分からなくなってきた。
「授業に集中しろ!」
相澤先生に怒られても、そりゃ当然の罰だと思って受け入れている。
「最近のお前はおかしい。ヒーローになりたければ、しっかり授業を受けろ」
「……先生。頭冷やしてきます」
俺は授業を抜け出し、廊下を走り、学校外に出た。
何のために外に出たか分からねぇが、一瞬でも玲奈に会えるんじゃないかという甘い考えが浮かんだ。
すると、誰かにぶつかった。
「ハァァ!?この俺様にぶつかるとはいい度胸……は?切島?」
「あっ、切島だ」
目の前には、変装をした爆豪と轟がいた。
「きりしまーー!!」
後ろから上鳴が追いかけてきて、俺の背中を強く押してきた。
「あっ、爆豪と轟じゃん!久しぶり!」
上鳴……よくそのテンションで絡めるな……。
「テメェら、何の用だ?この俺達を捕まえにでも来たか?」
「……違う」
俺は涙を流しながら、爆豪に言った。
「俺をヴィランにしてくれ」