第13章 文化祭
彼女がヴィランであろうがなかろうが、俺は彼女を嫌いになることはない。
俺は玲奈ちゃんが……好きだから。
いっその事、俺もヴィランになっちゃおうかなんて思ったこともあった。
だから、文化祭の時にすれ違ってすぐに気付いた。
「エマちゃん?」
そう話し掛けると、彼女は青ざめた顔をした。焦られせてしまった。
「大丈夫。誰にも言わねぇよ」
『でも、信用出来ない……』
彼女が痛々しそうに俯いていた。そりゃ気まずいよな。
「玲奈ちゃん。俺はお前がヴィランでも関係ない。大切な友達だからな!」
そう言って笑って見せた。しかし、彼女は笑ってくれなかった。
『ごめん、鋭くん。これで失礼するね』
彼女は走り出した。手を伸ばしても届かない。
好きなのに、好きなのに……何で……。
「切島、何してんの?」
上鳴が話し掛けてきた。
「お前何で泣いてんだよ!」
上鳴が心配そうに俺の背中を優しく撫でてくれる。
「何ともねぇ……早く戻ろう」
そして、俺達は自分のクラスに向かった。
俺の初恋は最初から意味無かったんだ。
何も報われない。
だから、ヒーローとして救ってやらないといけないんだ。