第13章 文化祭
玲奈side
A組のカフェで軽く食事を済ませた後、私は一人でトイレを済ませて戻ろうとした時だった。
骨のように細々しい金髪の高齢男性が私を見ていた。
マズイ、バレたか?
「君!一緒にお茶でもどう?」
見た目に反して元気よく話し掛けてくる。
『遠慮します。彼氏が待っているので』
私が急いで待ち合わせ場所に行こうとした時だった。肩を掴まれた。
「ヒーローになりたい?」
『えっ……』
私は血の気が引く感覚がした。どういうことなのだろうか。
「レベルはちょっと高いが、入学生募集中だよ!良かったら入ってね!」
金髪おじいちゃんはそう言って笑った。
この人は私が出久の彼女だと分かっていてそう言っているのか、だとしてもどういう意図で話しているのだろうか。
私は金髪おじいちゃんを睨み付けて急いで去った。
今、私にヒーローをすすめる理由とは?
私がヒーローになれるワケがない。こんな私がなれるワケがないんだ。
「玲奈」
誰かの温もりを感じた。顔を上げると、出久が私を抱き締めていた。
「テメェら、急にイチャイチャすんなよ」
勝己くんが唐突に怒鳴った。
よく見ると、出久の後ろには全員揃っていた。