【HELLSING】Eternitate...【アーカード】
第6章 KISS
「まるで英国の誇るスパイ映画の主人公のようだな、お嬢さん」
ハッとして上を見る。
「アーカード様…!」
私のすぐ頭上の窓から、アーカード様が頬杖をつきながら私を見下ろしている。
「そこで何をしている?」
「ち、地下に降りようと思って一度外に出ようと…」
へ、変なところ見られちゃった…。
アーカード様も怪訝な顔してるし…。
「そんな回りくどいことをしなくとも、部屋から出て階段を降りればいいだろう」
「そうなんですけど…あんなことがあったばかりだから、その…あ、あんまりお屋敷をうろちょろしない方がいいのかなぁ、なんて」
私は苦笑いしてごまかすも、アーカード様は鼻で笑い飛ばした。
「お前が今していることの方がよっぽど迷惑だ」
うぅ…。
ぐうの音も出ません…。
私がバツが悪そうにしていると、アーカード様はふふと笑い、赤い外套をひらりとさせて私の隣に降り立った。
「この屋敷にこびり付いた血を思い出すのが怖かったんだろう?」
私は思わずぴくりと肩を揺らした。
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