第24章 力 3
「スタンドはこの貨物船ってこと!?」
その瞬間船のパイプが動きだし、私と承太郎を縛り上げる。体がパイプにめり込んでいく感覚が気色悪い。
承太郎は大の字に、私は両手を上にした状態で縛られた。ソードマゼンダも同じように縛られていて動かすことができない。
すぐに壁からオランウータンが戻ってきた。ご丁寧に船長の服を着ていて、得意気な顔で私たちに辞書の“力(ストレングス)”を指した。意味はタロット八番目のカード。
秘められた本能の暗示、ね。どちらかと言えば、剥き出しの本能に見えるけど。
使えるものがないか辺りを見渡すと、さっき承太郎が殴るのに使った錠前がちょうどオランウータンの後ろに落ちていた。
「きゃっ。」
気がつくと、オランウータンは目をハートにしてアンの方に向かっている。今はあの子から注意をそらさなきゃ。
「ちょっと、おさるさん。そんな幼い女の子を狙うなんて、さすがに趣味悪いんじゃいの?」
私は挑発するような目付きで、オランウータンを見た。狙い通り、私の声に反応してオランウータンはこっちを向いた。そしてニヤリと笑うと、パイプが私の体をきつく締め上げ始めた。
着ていた薄いTシャツは簡単に引きちぎれてしまい、下着が露になる。
それでも眉ひとつ動かさない私に、オランウータンは不満げな表情をした。
「残念。そんなことで私が恥ずかしがるとでも思った?」
猿はどんどんと顔をひきつらせる。
「なあに?今度は怒るの?どんなに賢くても、内面はやっぱりおさるさんなのね。」
私の挑発にのったオランウータンは、怒りの形相で突進してくる。私のソードマゼンダは、例え手足を縛られていようと風を操ることができる。ソードマゼンダでさっき見つけた錠前を持ち上げ、オランウータンの後頭部に叩きつけた。
「猿も歩けば錠に当たる、なんてね。」