第20章 暗青の月 2
「やる気か!?このアン様をなめんな!相手になってやるぜ!!」
アンと名乗る少女は私たちを睨み付けてナイフを突きだす。
虚勢を張るような挑発の台詞と言い方に私は違和感を覚えた。スタンド使いならもっとうまく相手をのせるだろう。
どうしたものかと、目配せする。
乗組員10人の身元は確かだから、彼らがスタンド使いではないとおじいちゃんは言う。
ならば、新手のスタンド使いはこの少女以外にありえない。
アヴドゥルがディオについて尋ねるが、案の定何だそれはと返ってきた。スタンド使いだと隠すつもりなら、ディオを知っていると言うはずがない。
とは言え、こんな女の子がスタンド使いかと言われるとそういう風にも見えないし…。
どうするか決めあぐねていると、
攻撃してこないことを不思議に思ったのか、少女はさらに挑発を続けた。
「この妖刀が早えーとこ340人目の血をすすりてえって慟哭しているぜ!」
妖刀…。
あ、だめだ笑っちゃいそう。
「プッ」
先に吹き出したのは花京院だった。
「な、何がおかしい!このドサンピン!」
「ドサンピン…。なんだかこの女の子は違うような気がしますが。」
花京院は少し警戒を解き、そう言った。
おじいちゃんは渋っていたが、私もこの子がスタンド使いには見えない。
「この女の子かね、密航者というのは。」
突然渋い声が聞こえたかと思うと、女の子は船長に捕らえられた。
船長は密航者には厳しいタチだと言った。そして少女の腕をつかみ、痛がる声は気にも止めず少女が持っているナイフを取り上げた。
私は我慢できず、船長を制止する。
「船長、密航者とは言え相手は子供。力加減を考えてください。」
「いいやお嬢さん、あんた何にもわかってない。女の子とは言え、なめられると限度なく密航者がやって来る。」
そう言われてしまえば、ここでは彼に従うしかない。私は仕方なく口を閉じた。
おじいちゃんが船長に乗組員の身元について確認すると、やはり全員が10年以上この船に乗っているベテランだと言うことで怪しい者はいなかった。