第20章 暗青の月 2
「はぁ…はぁ。」
船に戻り、何度も肩で息をする。
「ジョジョ、アンナ。怪我はないか?」
アヴドゥルが私たちの方を見て聞いた。
「ああ、大丈夫だ。」
「私も平気。あの子も怪我はしていないわ。」
間一髪のところで逃げられたけれど、あれは一体何だったんだろう。
既にそれは消えてしまっていて、海に生き物の気配はない。
「スタンドだ!今のはスタンドだ!」
でも、スタンドだとしたら一体誰が?
私たちは目を合わせた。そして、疑るような目で女の子を見た。
もしかすると、この子がスタンド使いかもしれない、と。
少女はその視線に気がつき、懐からナイフを取り出した。