第16章 銀の戦車 1
カチャ
音がして見てみると、花京院が急須の蓋を少しずらしていた。
「「ん?」」
私と承太郎の視線に気がつき、花京院が話し出した。
「これかい?これはお茶のおかわりがほしいサインだよ。香港ではこうしておくとおかわりを持ってきてくれるんだ。」
この状況でお茶のおかわり頼めるタイプなのね、花京院。意外とマイペースな人なのかもしれない。
花京院はおかわりを持ってきた女性店員に対して、テーブルを2回人差し指で机を叩いてみせる。
「そして、これがありがとうのサインさ。」
「お粥の話といい、花京院は香港について詳しいのね。」
「香港にも以前来たことがあってね。」
「それで調べたってわけね。」
話をしていると、銀髪で特徴的な髪型の男がこちらにやって来た。
彼はフランスからの旅行者で漢字が読めなくて困っていたらしい。承太郎は一掃しようとしたが、おじいちゃんが引き止め一緒に食事をすることになった。
おじいちゃんのこう言うところを、私は密かに尊敬していた。おじいちゃんは、誰とでもこうやって友達になってしまう。ま、そんなこと、本人には言わないけどね。
おじいちゃんは漢字は任せろと言って、旅行者の希望のメニューを店員に注文した。
が、予定とは全然違う料理が運ばれてきた。
「カエル…って食べられるの?」
「やれやれ…。こんなことだろうと思ったぜ。」
「まぁいいじゃあないか。みんなで食べよう、わしの奢りだ。何を注文しても結構うまいものよ。」
まったく。こう言うところがあるから、尊敬していても素直に認めたくないのよ。と、心の中で悪態をついた。
カエルなんて美味しいのかしら。
少し不安はあったが、空腹も限界だったので出てきた料理を食べることにした。
みんなも最初は警戒していたが、一口食べて美味しいとわかると皆口々に感想を言った。
「それにしても手間ひまこさえてありますなぁ。ほらこのニンジンの形、スターの形…なんか見覚えあるなあ…。」
まさか…。
旅行者の一言で、私たちの間に緊張が走る。
「そうそう。私の知り合いが、首筋にこれと同じ形のアザを持っていたな…。」
「貴様、新手の…。」
言った瞬間、おじいちゃんの近くにあったお粥から何かが飛び出した。そして一瞬にしておじいちゃんの義手を攻撃する。アヴドゥルが炎で応戦したものの、かわされてしまった。
