第16章 銀の戦車 1
相手は鎧を着た騎士のような姿をしたスタンドだった。
「俺のスタンドは戦車のカードを持つシルバーチャリオッツ!モハメド・アヴドゥル!始末してほしいのは貴様からのようだな。」
そう言うと、彼は転がっている机に火時計を作ってみせた。そして時計が12を指すまでアヴドゥルを倒すと宣言した。
「恐るべき剣さばき、みごとなものだが…。テーブルの炎が12を燃やすまでにこの私を倒すだと?相当うぬぼれが過ぎないか?ああーっと…。」
「ポルナレフ…。名乗らせていただこう、J・P・ポルナレフ!」
アヴドゥルはチャリオッツが作った火時計を燃やしてみせた。そしてポルナレフに説明する、炎を自在に操れるから、マジシャンズレッドなのだと。
「フム。この世の始まりは炎に包まれていた。流石始まりを暗示し、始まりである炎を操るマジシャンズ・レッド!しかしこの俺をうぬぼれというのか?この俺の剣さばきが…。」
そう言うと、ポルナレフは5枚のコインを一度に突き刺した。それも、コインとコインの間に炎をも突き刺している。
彼はアヴドゥルを倒すと言ったのは自惚れではない、と念をおす。空気を裂くことで炎さえも切断できる、すなわちマジシャンズレッドの炎はチャリオッツの前では無力だ、と。
彼の能力なら、私の風とも相性は最悪ね。空気を裂かれてしまえば、私のソードマゼンダは攻撃できない。
そう思っていると、いつの間にかポルナレフは店の玄関に移動していた。
彼のスタンドのカード暗示は侵略と勝利。マジシャンズレッドが真価を発揮した上で叩きのめすのがチャリオッツに相応しい、と。
そして彼はこちらを向き叫んだ。
「全員表へ出ろ!順番に切り裂いてやる!」
そして、ポルナレフは私を指差した。
「そしてアンナ、君はディオ様のところへ連れていく!君のスタンドも私の前では歯が立たないことは、賢い君ならもうわかっているね?」
そう言い残すと、ポルナレフは店から出ていった。