第15章 そして香港へ
「さ、花京院。傷を見せて。」
花京院の隣に腰を下ろし傷を治そうと思ったが…
「僕も大丈夫です。傷は大したことないですから。」
と、花京院は私と目も合わせずにそう言った。
「何言ってるのよ。ハイエロファントグリーンのマスクが取れちゃったの見てたわよ。あんただって血を吹いてたじゃない!」
「いや、でも…。」
顔を背けて返事を渋る花京院にしびれを切らし、私は花京院の顔を両手で顔を押さえ自分の方を向かせる。
「アンナさん!?」
「さ、観念して口を開けてちょうだい。…あれ?花京院?」
花京院の顔は耳まで真っ赤だった。
その表情をみた瞬間、自分がしていること、これからしようとしている事がどういう意味を持つのか気がついた。
通りで承太郎が嫌がったわけだ。
傷を治すためとはいえ、さすがにデリカシーがなかったかな。
心の中で反省していると、花京院は私の方を見ないまま話し出した。
「アンナさん、傷を治してもらうのは全然構わないので…。その…手を離していただけますか?」
「わ、わかったわ。こっちこそ、ごめんね。」
私は花京院の顔から手を離した。
「では、お願いします。」
花京院は目をぎゅっと閉じると口を半開きにし、舌を私に見せた。
「そんなにかしこまらなくて大丈夫よ。すぐに終わるわ。」
舌の真ん中に大きな傷があり、裂けてしまっている。痛かっただろうに…。
ソードマゼンダが花京院の舌にそっと触れると、傷はきれいに治った。
「はい、終わり。もう口閉じてもいいよ。」
「ありがとうございます。」
「深い傷でビックリしたわ。よく耐えようと思ったわね。私が女だから気まずいのはわかるけど、こういうときは別よ。ちゃんと怪我を治してちょうだい。」
「す、すみません。」
そう言うと、花京院は照れたような困ったような顔で笑った。