第10章 スタンドという力 1
「うおおおおお。」
おじいちゃんが声を荒げて承太郎に掴みかかった。
おじいちゃんが一番危惧していたことが現実になってしまった。
優しいホリイちゃんにはスタンドに対する抵抗力がなく、このままだとスタンドが害になってしまい命が危ない。
本当はわかっていたことだ、ホリイちゃんだってディオからの影響がないわけがない。他の人には見えない承太郎のスタンドが、ホリイちゃんにははっきりと見えていたのだがら。
「言え!対策を!!」
承太郎はおじいちゃんの手を掴み返し言った。
「ディオを殺し、この呪縛をたちきるのじゃ!」
今まで他人事でディオについての話を聞いていた承太郎も、ようやく決意を固めたようだった。
「ディオの話の前に、ホリイちゃんを布団に寝かせてあげましょう。少しでも楽な姿勢にしてあげないと。それに、みんなも一回落ち着いた方がいい。」
「そ、それもそうじゃな。」
承太郎がホリイちゃんを部屋まで運び、布団を敷いてホリイちゃんを寝かせた。
「で、ディオとやらはどこにいるんだ?」
「それが、何度写真を撮っても居場所がわからないのよ。」
「あらゆる画像解析を行ったが、この闇までは識別しきれなかった。」
「なんだ、それを早く言わねえか。」
そう言うと承太郎は、写真を自分のスタンドに見せた。
闇のなかに何かを見つけた承太郎のスタンドはペンを持つと、一匹のハエを描いた。
「ハエじゃと?」
「暗闇のなかにハエがいたのね。」
「このハエ、どこかで見たことがある。承太郎、書庫はあるか?」
「書庫なら私が案内するわ。承太郎とおじいちゃんはホリイちゃんの側についていてあげて。」
そう言い残し、私とアヴドゥルは書庫へ向かった。