第10章 スタンドという力 1
翌朝、ようやく日本の時間にも慣れてきたのか、思っていた時間通りに起きることができた。
昨日ホリイちゃんに洗濯物を頼まれていたので、庭に出て洗濯物を干す。
鼻唄混じりに干していたが、家の中がやけに静かなことに気がついた。
いつもなら、ホリイちゃんも起きていて朝御飯の匂いもしてくるはず。
「おかしいな…。」
「おーい、ホリイ。このズボンは承太郎のじゃぞ。」
縁側の方から、おじいちゃんの声が聞こえてきた。
「おじいちゃん、おはよ!ホリイちゃんがどうかしたの?」
「ホリイのやつ、承太郎とわしのズボンを間違えて渡しおったんじゃ。サイズは同じじゃが、わしはこんなズボンは履かんよ。」
「それでホリイちゃんを探してたのね。」
二人で話していると、承太郎が辺りを見渡しながらこっちへ歩いてきた。
どうやら承太郎もホリイちゃんを探しているみたい。
「おはよ、承太郎!ホリイちゃん探しているの?」
「ああ、見なかったか?」
「見てないけど、この時間なら台所にいるんじゃないかな。行ってみましょう。」
「そうじゃな。」
歩いていくと、台所に入る廊下になぜかスプーンが1つ落ちている。
嫌な予感がする。
部屋に入ろうとすると、アヴドゥルの慌てた声が聞こえてきた。
「ホリイさん!!!」
私たちは顔を見合わせ、急いで台所の前まで走った。
「…どういう、こと?」
私の声でアヴドゥルが後ろを振り返る。
アヴドゥルの腕には気を失ったホリイちゃんが抱かれていた。
ホリイちゃんの苦しそうな表情、そして背中から生えているシダ植物のようなもの。これって…
「スタンド…なの?」